医学部予備校というものの存在
Last Updated on 2024年11月27日 by ainmana
目次
①医学部予備校が存在する理由とは
医学部予備校というものが存在し続けていることから、医学部に入るのがいかに難しいかということがうかがえます。
医者になるための学部に入るのが難しいのは当然のことのようですが、歯学部に入るのが相当楽になっていることからすると、その違いには注目をすべきでしょう。
歯学部予備校というのは聞いたことがありません。
司法試験改革がおこなわれる前は、弁護士というのは医者以上になるのが難しく、司法試験に合格すれば将来が約束されたようなものでしたが、その当時であっても、法学部予備校というのを聞いたことはありません。
法学部に入っても、その後法曹界の仕事には就けないのがむしろ一般的です。
現在は司法試験の合格率が以前とは比べものにならないほど上がっていますが、昔は3%ほどでした。
一方、医師国家試験の合格率は90%前後です。
この違いが、富士学院などの医学部予備校はあっても法学部予備校がなかったことの理由であると考えられます。
医科大学や学部に入ることさえできれば、という心理が働くのでしょう。
そして実際、入ってしまえば90%前後は医者になれるという現実があります。
法学部に入っても、なんら将来は約束されない、しかし医学部に入れればあとは、ということでしょう。
一般国民からすると、確かに弁護士や裁判官、検事には優秀であって欲しいところですが、医者にはそれと同等どころかそれ以上に優秀であって欲しいものです。
命に関わる問題だからです。
事件として報道されているように、裏口入学も存在していることからすると、入学者数は法学部並みに増やして国家試験を難しくしてほしいところです。
入学者数が法学部並みに増えれば、専門の予備校も必要なくなるかもしれません。
②高額な授業料と専門校に入れば合格しやすくなるという問題点
専門校があるのは需要がある以上当然でしょうが、問題は授業料が相当高く、ほとんどが医者の子弟になるということでしょう。
別に医者の子弟が専門校に入ってもかまわないわけですが、専門校に入ると受験に格段に合格しやすくなるというのでは、機会均等という観点からはいかがなものかということになります。
他の塾でも授業料が高いところはありますが、手が届かないほど高いというところはまずありません。
医学部受験用の専門校となると、その授業料のあまりの高さから、利用できるのはごくわずかとなります。
それでも医師国家試験の合格率が、旧司法試験の合格率と同様に3%ほどであったら、そこまではいかなくても、現在の司法試験合格率の20%強程度であったら、別にまったく懸念材料とはならないわけですが、90%となると、不安になる人もいるかと見られます。
プロ中のプロの力を借りて入試突破の受験テクニックさえ身につけて入学すれば、およそ90%の割合で医者になれる、という見方をする人もいるでしょう。
医学部用の専門校に通っても、大学受験で合格できない人もいるわけですから、関門はあるのでしょうが、やはり命を託す相手です。
大学合格イコール医師国家試験合格のような構図になっていなかったら、親は途方もなく高額な授業料を支払ってまで専門校に入れようとはしないでしょう。
③選択肢が狭い医者の数と狭き門
一般国民としては、医者の数は増えてほしいところです。
歯医者のように、コンビニよりも数が多いほどになって、豊富な選択肢を持てるようになって欲しいところです。
そうなると、歯医者になっても裕福になれるとは限らなくなったため、歯学部の偏差値が一層下がっていっているように、医者にも同様なことが起こるかもしれません。
医者不足の現状からすると、夢のような話です。
こうした専門校が盛況になることに、一抹の不安を覚える一般国民はある程度いるでしょう。
医師国家試験の合格率の高さとセットになっていると、余計に気がかりになったりするものです。
司法試験合格者と医者はどうしてこうも違ってしまったのか、と考えざるを得なくなります。
法曹関係者とは、その気になれば関わらずに済ませることもできます。
法律に頼るということを避けたがるわが国では、多くの人にとって法曹関係者は遠い存在です。
しかし医者はそうはいきません。
必ず関わらなければならない存在です。
つまり、選りすぐりの人にしておいてほしいということです。
④誰もが通える授業料で、社広く社会に人材を求める方が選りすぐりの人材を確保しやすい
高い授業料を支払える人限定にして、その狭い範囲から選ぶということよりも、広く社会に人材を求めたほうが、選りすぐりの人材の数を確保しやすいはずです。
プロ中のプロのマンツーマン指導を受け、受験テクニックを教われる専門校出身者が入試に格段に合格しやすくなるという状況は、広く社会に人材を求めるということと逆の方向に向かうような気がして、そこで医師国家試験の90%もの合格率というのを目にして、不安を感じる人がいてもおかしくはありません。
需要のあるところに供給があるわけですから、専門校が厳然と存在し続ける以上、その利用価値は高いと見られます。
あと一歩で合格できなかったというような人なら、頼りたくなるのも当然です。
到底及ばなかった人でも、学習法を変えるなどして能力が発揮できることもあるはずです。
頼るのは、自然なことです。
頼れる人がごく限られていると言うのが、懸念材料ではあります。