矢口社長の展望

Last Updated on 2024年11月27日 by ainmana

福島第一原子力発電所の事故で放射能が放出され拡散された後、政府は、事故後1年間の被爆線量の合計が20ミリシーベルになりそうな地域のうち、第一原発から20㎞圏外を計画的避難区域、20~30㎞圏内を緊急時避難準備区域、20㎞圏内を警戒区域として、非難や屋外退避を指示、あるいは立ち入りを制限しました。

その後、原発は冷却の状態にあるとして、区域の見直しが行われ、同時に帰還に向けた環境整備と地域の復興再生を目的に除染作業を継続してきました。

平成28年6月にはかつての警戒区域、計画的避難区域はすべて①避難指示解除準備区域、②居住制限区域、③帰還困難区域に分けられました。

帰宅困難区域は放射線量が年間50ミリシーベルトを超えて、5年間立っても年間積算量が20ミリシーベルトを下回らない恐れがある区域で、双葉町、浪江町と大熊町の一部、富岡町の一部が該当します。

実際には、テレビ映像により推し量ることしか出来ませんでしたが、冬の仮設住宅の前で「こんな所で死んでなどいらんめえ」と言った人、行政が対象としない、家の隣接の林で線量計を片手に除染作業をしていた人、避難中の一時帰宅時に、久しく留守にしていた家屋敷は荒れ放題で人の住めるような状況ではなく、もう住むことをあきらめるしかないと言った人の表情も虚ろでした。

帰宅困難区域を除いて、帰還を選んだ人、避難後住んでいた所で新しい住まいを決めた人、まだどうするか迷っている人等家族や仕事の状況により様々です。

先のテレビで見たあの方達はどうしているでしょうか。

地域の指定が済んでも人の心に関わる問題は解決できません。

人の心身の問題や経済的問題ばかりではありません。

除染作業で出た指定廃棄物の処理の問題もあります。

堆積する一方の廃棄物の最終処理施設の行方はまだ決まっておりません。

国は最終的には国が責任を持つと言っていますが、どう責任を持つのか明らかではありません。

オリンピック招致の場で安倍総理は「福島はコントロールされている」と言いましたがあれは事実ではありませんでした。

国はどう責任を持つのか明らかにしてそれを確実に着工した時こそ本当の福島の復興と言えると思います。

→矢口敏和 アトックス